rolex ロレックス / EXPLORER 2 エクスプローラー2 (ref.16570)

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rolex ロレックス / EXPLORER 2 エクスプローラー2

4年ほど前、僕がまだ前の職場にいた時のこと。
夜遅くまで残って仕事をしていると違う部署の先輩が「tkj、ロレックス好き?」と出し抜けに聞いてきた。

「好きと言えるほど時計にもロレックスにも詳しくありませんけど、どうしたんですか?突然」
「実は婚約のときに妻に買ってもらったロレックスをなくしてしまって、こっそり同じものを買い直したんだよ。
そしたら昨日、そのロレックスが出てきたんだ」
そういって全く同じ2本の時計を僕に見せた。

違う部署ではあるけど、どちらかと言えば僕がその先輩のフォローをすることが圧倒的に多かった。
それはその先輩の能力の問題ではなく、部署同士の仕事の内容の問題だ。
その先輩は非常に紳士的で仕事ももちろん出来た。

「でさ、このロレックス買わない?値段はtkjが決めていいよ。いっつも助けてもらってるからさ」
「いや、大変ありがたいんですけど、僕ロレックスの定価とか相場とか全然知らないんですよ。正直、その時計がなんていうモデルのものかも知らないんです。だからもしかしたら僕よりきちんとその価値が分かってる人に譲った方がいいかもしれません」

「いや、俺はtkjに譲りたいんだよ。この時計は定価は56万くらいだった。買った値段はもっと安かったけどね。でもそんなことは問題じゃない。1万でも2万でもいい」

そこで10万円くらい出せれば良かったのかもしれないけど、その言葉に甘えて結局3万円でそのロレックスは僕の腕に収まることになった。



正直に言えば、僕は時計の中でロレックスがとくべつ好きなわけではない。
もし次に時計を買うとしても数ある時計メーカーの中からロレックスは選ばない。
それどころか、まず真っ先に選択肢から外れる。

この時計に関していえば、ベゼルの数字のフォントはなんとなく子供っぽくて野暮ったいしGMT針の赤色も狙いすぎている感じがする。
それでも僕はこのエクスプローラー2という時計に親密な感情を抱いている。
着けるたびにあたたかな気持ちになれる。

僕は嬉しかったのだ。
その職場の中でも僕はいちばん若く、自分の部署で文字通り孤軍奮闘していた。
きちんと時には我慢もして与えられたことに全力で向かっていけば、こうやって評価してくれる誰かがいるんだ、ということをこの時計がいつでも教えてくれるような気がする。

でも今では、僕はとてもラッキーだったのだと思うようになった。
時計を格安で手に入れられたことが、ではない。
自分の仕事を評価してくれる人がいる、という事実を知るイベントに遭遇できたことが、だ。
しかもそれが「時計」という目に見える形で残った。
こういうことは人生の中でもそうそうあることではないと思う。

世の中の善良な仕事のほとんどが誰の目にも触れられず、当然のこととして処理されていく。
誰からも認められなくても、日常に忙殺されても、僕らは目の前に次々とあらわれるタスクをこなさなければならない。

本来仕事というものは、人生というものはそういうものなのかもしれない、と僕自身は思うようにしている。
常に他人からの評価を期待すると、世界はとたんに失望に満ちたものになってしまう。

でも僕は僕の周りの世界をいつまでもそんな殺伐としたものでいさせておきたくはない。

「他人の行動に目を向け、それをきちんと評価すること」
この物語から得た教訓のようなものがあるとすれば、こういうことなのだと思う。

僕はそれ以来、一緒に働いているスタッフの小さな気遣いや仕事に意識的に目を向けるようになった。
そして出来るだけ具体的な言葉で評価する。
それによってそれぞれに自己肯定感が、ひいてはよりよい仕事が生まれてくれればいいな、と思う。

評価の証として譲れるような時計を持っていないのが、とても残念だけれど。
















文字盤が黒のものの方が人気だそうです。

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[ 2011/08/09 00:34 ] 時計 | TB(0) | CM(0)

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